「DESIGN IT! FORUM 2008 インタラクションデザインの現在と未来」

8月22、23日で開催された「DESIGN IT! FORUM 2008 インタラクションデザインの現在と未来」に行ってまいりました。

←この書籍の出版記念でもあります。
インタラクションデザイン。あまり聞き慣れない言葉ですが、UIとも言えますが、ただそこに見えているデザインではなく、いかに機能をするか(ジョブズの言葉ですね)、人間の行動に対してシステムがいかに振る舞うかをひっくるめたものを「インタラクションデザイン」と言うのだそうです。
一つの製品は、美学、振る舞い、機械的構造の3つのレイヤーで構成され、WEBに限らずあらゆる生活シーンでコンピュータに接触する機会が多い現代は、コンピューターの複雑なシステムとユーザーの接触点を如何に機能的で分かりやすくデザインするかが重要視されていているってわけ。

開発者が機能モリモリに開発したとしても、どんなことができるのか気付かれなかったり、操作が複雑で慣れるしかないというならそのプロジェクトは成功とはいえず、逆にデザインは美しく最先端だが、「だから?」というのは悲しいことに論外。システム的にはメンテナンス性や拡張性がよく、デザインは知覚的、感覚的に分かりやすくなることでプロジェクトは成功する。
すなわち!
インタラクションデザインを追求すると、ユーザーニーズとビジネスニーズのバランスを取ることができる。
…わかる。わかるのだが…なんだか難しいぞ。
ライティングで言うと、ユーザーとの接触点は見出し。雑誌を媒体にすると抽象的でかっこいいコピーが受けるが、WEBだと検索には引っかからなくてみられることもない…。中身は同じでもシーンによって必要とされるインターフェイスもクオリティも違う。まずは媒体と対象をとことんリサーチして、その結果をシステムやデザインに落とし込んでいくことが必要だが、それって高度な技術よね。。
そこで、すごく興味深かったのは、2日目の実例を交えたセッションで登場した、「Microsoft Office 2007」。
MS Officeが2003から2007に変わったとき、度肝を抜く衝撃がありました。「変わりすぎ…」が正直なところです。それまでのOfficeは、ユーザーに求められる機能を実装し続けた結果、300以上のアイコンが出来たそうです。その機能をすべて表示すると↓こんな感じだそうで。もう、カオスです。
msword.jpg
どんなシーンでも、ユーザーの要求を解決する方法は2つ。パズルかミステリーか。これは勉強になりました。
ひとつひとつのピースをはめていって完成させるのがパズル。そして、このパズル手法で解決していった結果、Office2003が完成していき、カオスに陥った。既に実装されている機能を要求するユーザーも多く、つまり、機能を追加しても気付かれない(=使われていない)、非表示機能も不評だし、ボタンも Poor…という悲しい事実が明らかに。。。これにはさすがのゲイツ&バルマーも「Microsoftが壊れているらしい」と気付きはじめ、「過激な変革が必要」と決断したらしいのだ。その結果、タブを利用して秩序だったメニュー構成になり、売れ行きも好評になったそうだ。
私も最近会社で「Microsoft office 2007」になってしまったんですが、これがまた慣れるのが大変だけど、慣れると便利そう。2003に戻りたいところだけど、今日の話を聞いてちょっと見直した感はあるかな。
そして、iPhoneに代表される、ミステリー的解決方法。多すぎる情報の中から最低限に必要な機能を選別し、それを説明のいらないほど直感的で解りやすく、新しい形で実装して解決に導く。そこには遊び心を加える余裕すらできる。例えば、iPhoneでサイトを見ている時に、ページの末端でゴムのようにビヨ〜ンとなる動作。末端でただ止まると、ユーザーはページの終わりなのか、セッションが止まっているのか解らない。そこで、ビヨ〜ンなのだ。やっぱり素敵だわ。iPhone。持ってないけどね。
ということで、ダン氏の話の他にも色々勉強になったけど、長くなって疲れたのでこの辺で。
AXISの宮崎氏のGUIからEUIへ(エモーショナルユーザーインターフェイス)。という話も面白かったです。エモーショナルとは、サウンド、モーション、触覚、光、香などから成り立ち、「カンタン・キレイ・キモチイイ」がコンセプト。
最後に、宮崎氏のセッションで印象に残った偉人の言葉
イスは部屋の中に、部屋は家の中に、家は自然の中に(ゴットリーブ・エリエル・サーリネン)

「WEBはOSの中に、OSはPCの中に、PCはデジタルデバイスの一つとして、デジタルデバイスは生活環境の中に」
高度に発達した技術は魔法と区別がつかない(アーサー・C・クラーク)
枯れ木に花咲くを驚くより、生木に花咲くを驚け(三浦梅園)
ほほぅ。